宗雅は調査要項を取り出して、提出用紙と照らし合わせる。


意味がとれないところは、付箋をつけておく。


入力をしたとはいえ、意味までは追っていないから、調査項目の主旨がわからないところがある。


今日、早速に質問に行きたいと思っていたのだが、嫌な予定の時間が迫っていた。


「あれ、ソウ上がり?」

「はい」


ああ、メンドクサイ。


宗雅は背広の上着を羽織って、藤井にそれ以上干渉されないように事務室を出た。


事務室のあるA棟を出て、E棟に向かった。


E棟はいわゆる接待ビルだ。


会社で言うところの役員室があり、それの秘書室があり、応接室、会議室がある。


教室が足りないって言うなら、役員一人一部屋を止めればいいんじゃないか?


カサブランカの香りが漂う廊下を歩きながら皮肉に思う。