「謝ることないけど・・・。
 じゃ、気をつけて」


宗雅が早足で歩き去っていく。


失敗してしまった。


その背を見送ってから、各駅停車に乗るための列に並ぶ。


電車に乗ると、窓ごしに反対側のホームに姿を見つけた。


同じホームで少し遠くに立っている女性が、一瞬宗雅を見てから、立つ位置を変えてこっそりと眺めている。


わかるわかる、その気持ち。


碧は苦笑した。


それも電車が動き出して、やがて見えなくなった。


結局、最後はいつも通りの自己嫌悪。