夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)



「駅、どこ?」


また耳元で囁いた。


近い、近い。


頬に宗雅の髪が触れる。


動揺した碧は降りる駅名だけ小声で告げた。


「じゃあ、二つ先の駅まで付き合う。
 そこから各駅に乗り換えますよね」


耳に息が触れて、危うい気分になる。


声が出せなくなって、ただ碧はうなずいた。


それを確認すると宗雅は屈めていた上体を伸ばした。


でも腕の力は緩まない。


全身で宗雅に寄りかかったままだ。