夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)



「無いです」


またつっけんどんに答えてしまった。


「たぶん」


しどろもどろに付け足す。


「たぶん?」

「療養中の上司が選択定年をしようか迷っているようで。
 そうしたら、補充があると思いますが」

「そうですか」


会話が終わってしまった。


えーと、なんて続ければよかった?


M棟の入り口に差し掛かる。


ここで受け取ろうと口を開きかけたが、宗雅は歩みを緩めずに入っていく。


唐突に階段の前で足を止めた。