突然、持っていたファイルが横からの力に引っ張られたのに、驚いて振り返った。 「持ちます」 さっきまで正門で注目を集めていた宗雅だ。 街灯で、ややウェーブのかかった黒い髪の毛と黒い瞳が艶やかに光る。 この人、本当に美形なんだ。 見つめて違う次元に行っていると、ファイルが奪われた。 「すいません」 「通りがかりですから。 打ち合わせの帰りですか?」 「はい」 もうちょっと気の利いたことが言えたらいいのに。 しかもその先が続かないんだよね。 碧は胸の内でため息をつく。