すると、突然足を止める水無瀬くん。進まないとゴール出来ないよ?



「水、無瀬く、…ヒャア!」



後ろを向いた瞬間、体が浮いた。



キャー!という今日何度目かの黄色い歓声。



お姫様抱っこ、だと分かるまでにそれほど時間は、かからなかった。



…顔、近いし。恥ずかしいし。正直、おろしてもらいたい。



だけど、もう少しだけ……なんていう欲望もある。



「…掴まってろよ。」



水無瀬くんは、それだけ言うと走り出した。