ルカは自分を落ち着かせる様に深呼吸を繰り返した。


「私……赤ちゃんの時に捨てられてて、そんな私を今の両親が拾って育ててくれたんです。 千切れてしまったネックレスは、その時私が付けていたものです。 だから誰にもらったとか、そういうのは分からなくて……っ。」


途中しどろもどろになりながらも話をしたルカは、溢れる涙を何度も拭った。それは段々と乱暴になり、噛みしめた唇には血が滲んでいる。

ただでさえ不安でしかたがないルカに俺は恐怖を与え、更に不安を与えた。ルカが自分の意志でここに来たわけではないと理解しながら、感情的になり傷付けた。自分よりも遥かに幼い少女に何て酷い事をしてしまったんだろう……。

ルカの腕を引き、その華奢でか弱い体を抱きしめた。


「っヤダ!! 離して!! 離してってば!!」

「その顔で泣くなと言っているだろう。 学習しない女だな。」


最初は暴れていたルカだが、暫くするとおとなしくなり俺の胸に頭を預けた。

物珍しいものでも見る様な目で見てくるジョシュを睨みつけた。するとジョシュはフッと笑った。

ルカが泣き止み体を離すと、何故がルカは俯いたまま顔を上げようとしなかった。


「ルカはウェルヴィアの住人?」


ルカはジョシュの言葉に顔を上げると首を傾げた。


「うぇる……え? あの、ごめんなさい。 地理はあまり得意じゃなくてその国が何処にあるのか分からないんですけど、私が住んでるのは日本です。」

「ニ、ホン……?」