控え目に甘く、想いは直線的

翌日の夜、柊花に誘われてオフィスの裏通りにある中華レストランで食事をした。

猫舌の柊花は、熱々の小籠包をレンゲにのせて何度も息を吹きかけ、ゆっくりと口に入れる。私も同じようにレンゲに小籠包をのせてその様子を見ていた。

やっぱり柊花には隠しておけない。1度口元まで運んだレンゲを下ろして、ゆっくりと味わっている柊花に話しかけた。


「私、昨日キスしちゃった」


「は? あつっ! はっ、はふと?」


「はふと?」


息を吹きかけて、熱を逃がしたつもりでもまだ中央部分は熱かったようだ。柊花は水を飲んで、口の中を空にしてから、ちゃんと聞き取れる言葉でもう一度訊ねてきた。


「もうビックリさせないでよ。で、誰としたの?」


「なんだ、誰と? って言ったのね。柴田部長となんだけど」


「柴田部長と付き合っているの?」


そうだった……私、付き合っていないのにキスをした。「ううん」と答え、小籠包を食べる。