控え目に甘く、想いは直線的

そのとき、ガチャとドアが開いて、大石さんが戻ってきた。早く戻ってきて欲しいと思っていたけど、今はタイミングがよくない。

ドアノブが回される音が聞こえたと同時に部長は素早く私から離れていた。離れたといっても、顔を離したくらいでまだ私の目の前にいることには変わりがない。


「あれ? 野々宮さん、熱があるの? 顔が赤いような気がするけど」


部長と私の間を割って入ってきた大石さんは、私の体温を確認しようと手を額にと伸ばしてきた。


「いたっ! ちょっとなんですか!」


伸ばした大石さんの手を部長が叩き、叩かれた大石さんが怒る。


「熱なんかないから大丈夫だ。野々宮、トイレに行くんじゃなかったのか?」


「えっ? あ、はい、そうでした! 行ってきます。あ、大石さん。熱はないので大丈夫です」


私は逃げるように急いで廊下に出た。

やっと解放されたけど、心臓はドキドキと激しく動いている。まだ感触が残っている唇に手を持っていく。

何で私、部長と……


「あ、夕美ちゃーん」