控え目に甘く、想いは直線的

「そこの駅から20分で、駅に着いてから歩いて10分くらい」


「30分くらいか。逆算して、3時半に出れば大丈夫だな。まだ1時間以上はある。よし…行こう」


柴田涼は、また私の腕を掴んで、来た道を戻ろうとする。この辺りをさっきから行ったり来たりしている。

時間はあるといえば、あるけど、今度はどこへ行こうとしているのだろう。


「あの、どこに行くのですか?」


「いいから、こっち」


またもや、腕を引っ張られる形となる。先程のケーキ店を通り越して、同じ通りにある1つの店の前に止まった。高級そうな服がショーウインドウに飾られている。

こんなブティックには、縁がない。

それなのに、柴田涼は足を進ませる。自動ドアが開き、綺麗な店員さんが笑顔を向けた。

多分30台半ばと思われるが、店員というよりも女優といったほうがしっくりくるくらい綺麗で女の私でも見惚れてしまいそうになる。


「あら、涼くん。いらっしゃい」


柴田涼は、ここの常連客なのだろうか…でも、店内をざっと見たところ、女性用の服しか見当たらない。

柴田涼は、呆然とする私からいつの間にか離れて、服を選んでいた。