控え目に甘く、想いは直線的

素早く行動した私は、部長の脇からのすり抜けに成功した。

これで、もう安心のはず。


「いい根性してるな」


「ひっ!」


すり抜けて安堵のため息を軽くついていると、右腕をつかまれた。

そして、離れた距離をまた縮められる。こういうことは今まで全く経験がない。それでも、私なりに対処しているつもりなのに、また追い詰められるとは……どうしたらいいの?

大石さんはいつ戻ってくるのだろうか。この状況から救ってもらいたい。


「俺がそんなにも怖い?」


「怖くはないです……」


「は? よく聞こえない」


おそるおそる返した声は自分でも小さい声だと思った。聞こえる大きさで返さないともっと近付いてくる。

それだけは阻止しなくては……。


「すいません! 怖くはないです!」


「……ぷっ! そんなに声を張り上げなくても聞こえるよ。とにかく怖くないなら逃げなくていいから。怯えさせるつもりなんてないよ。ただおもしろいと思っただけだ」