控え目に甘く、想いは直線的

でも、求めていない笑顔でも立ち上がって距離を縮めてくるから、慣れない距離に顔が熱くなる。

近いです!


「部長! 離れてくださいよ」


少しでも距離をとろうと後退りするが、コツンとパンプスのかかとが壁にぶつかる。いつの間にかすぐ後ろは壁だった。

壁際に立っていた覚えはない。気付かなかったけど、徐々に追い詰められていたようだ。


「さっきから何で離れようとしてるの?」


部長はまだ意地悪く笑っている。

こっちこそ何でさらに距離を縮めてくるのか知りたい。

今でも息が微かにかかる距離にいるから、これ以上は近寄らないで欲しい。後ろに下がることが出来ないのなら、前から突破するしかない。

私は部長の左脇から逃げれると瞬時に判断した。だけど、近過ぎる。


「お願いです。離れて……」


声が震える。至近距離で見られることに緊張して、手も震える。

それでも震える手で、部長の胸を押した。押されると思っていなかった様子の部長が目を一瞬見開いた。これまたなかなか見ることのない表情だが、今はそれを気に止めていられない。