控え目に甘く、想いは直線的

柴田涼にとっては、この服装をしていること自体が有り得ない様子で、ぶつぶつと言葉を吐き出す。

華がない…そんなことは分かっている。友だちからも地味だと言われ続けてきていた。でも私は、スタイルを変えようと思ったことはなかった。

人とは違っても、自分では落ち着くスタイルだったから、十分だと思っていた。


「えっと、おばあちゃんのとこには何時までに行けば大丈夫? 少し時間ある?」


「時間ですか?」


左手首にしている黒い革のベルトの腕時計を見る。この地味な腕時計はおばあちゃんが昔、使っていたというものを譲り受けたもの。

時刻は2時になるところだったが、誕生日会開始の時刻は5時だった。少し早めに行って、母を手伝って、料理をする予定になっていた。

でも、5歳上の姉も手伝う予定だから、少し遅れても大丈夫なはず。


「あの、4時に着けば大丈夫で…」


「4時? ここからおばあちゃんのとこまでどのくらい?」


柴田涼は、自分の腕時計を見る。シルバー色の腕時計は太陽に当たって、輝いていた。ブランド名とかは分からないけど、王冠のようなマークが見えた。高そうだな。