控え目に甘く、想いは直線的

「駅の反対側にあるホテルに行くよ」


「え? ほ、ホテルですか?」


さっき、柴田涼と出会った場所は駅にかなり近かった。そこの駅から電車に20分くらい揺られれば、おばあちゃんのすむ町に着く予定だった。

でも、ケーキがダメになり、代わりのケーキさえも用意ができない。

そんな切羽つまった状況の中で、言われた言葉には呆然とするしかない。


「そのケーキほどじゃないかもしれないけど、そこのケーキもうまいから」


「そこのケーキ?」


「そう。1階にあるカフェで持ち帰り出来るケーキも売っているんだよ。今、聞いたけど、ホールがあったから、取り置きしてもらうように話した。急ごう」


またもや、柴田涼に腕をつかまれて、ケーキ店の外に出る。


「あそこのケーキも美味しいから、味は保障するよ。ところで、誰の誕生日?」


「祖母の誕生日です」


「そうなんだ。高校生なのに偉いね」


「はい? 高校生?」


もしかして私、高校生だと思われている?

確かに、さっきの女の人みたいに派手な服装ではない。メイクも成人式くらいしかしたことがなく、普段はノーメイクだ。