控え目に甘く、想いは直線的

アルコールはあまり得意ではない。ビール2杯くらいが限度と伝えようとしたのだけれども……


「シャンパンを持ってきて」


私の返事を待たずに部長が先に告げる。

シャンパングラスに微かにゴールドに見えるシャンパンが注がれる。上昇していく小さな泡が幻想的に輝く。

夜景と同じでとてもきれいだけど、夜景を見たときのように喜べない。


「乾杯しましょう。かんばーい」


「お前がいうのか?」


「いいじゃないですか。ね、野々宮さん。はい、かんばーい!」


場の空気を読んでいるのだか読んでいないのか分からない大石さんの乾杯の音頭には唖然としたけど、向けられたグラスに「乾杯」と合わせた。

正面を向くと眉間に皺を寄せた部長が私のほうにグラスを差し出したので、それにも小さく乾杯をした。

隣の大石さんはニコニコしてるけど、部長は不機嫌さ丸出しの表情をしている。

歓迎会の始まりがこんな感じだなんて、不安でしかなくて素敵なレストランだけど、早く帰りたくなる。