控え目に甘く、想いは直線的

「野々宮さんが喜んでますよ。良かったですね、要さん」


「野々宮、窓にへばりついていないでまず座りなさい」


「あ、すみません」


「こっちに座って」


窓を背にした椅子に座ろうとすると部長に止められる。部長に言われた席に座ると夜景が正面に見えた。

この夜景を見ながら食事が出来るなんて素敵な夜だ。

あとはここに涼さんがいてくれたら最高だな……デートというシチュエーションなら更に最高だ。

と、私は涼さんとのディナー風景を思い浮かべ、部長が涼さんに変わらないかなと失礼なことを思った。


「その微妙に不満そうな顔はなんだ?」


「えっ?」


夜景が正面に見えるが、それよりも近い正面は部長だった。


「いえ、別に何も……」


涼さんのことを考えてしまったことを悟られなくなかったけど、返す言葉が見つからなくて俯く。

部長はいつも私のほんの少しの表情の変化に目ざとくて、指摘してくるから、気が抜けない。

今もまだ真っ直ぐ向けられている視線を感じるから、変にドキドキしてしまう。


「野々宮さんは、アルコール飲める? シャンパン頼んでも大丈夫?」