控え目に甘く、想いは直線的

せっかく与えてもらった研修の場で私は何をしていたんだろう。

悪いのは自分だと分かるけど、ここから出たくはない。私は首を横に振った。

部長から小さなため息がもれた。軽蔑されたのかもしれない。

不純な動機で受けたのにも関わらず、採用してくれて、研修も同じように受けさせてくれているのに、上の空で聞いていないなんて……自分でも呆れてしまう。

真面目だけが取り柄なのだから、しっかりしなくてはいけない。

資料を1枚捲り、真っ直ぐと前を見る。


「しっかり聞けよ」


「……!」


部長が私の方に前のめりになって立ち上がったから、息が耳にかかり、体がビクッと動いてしまった。

こんな近い距離に来るなんて、心臓に悪い。まだ怒ってるのかな。

私の頭をこついて前に行く姿をぼんやりと眺めた。


いけない! 集中しなくては。


大石さんの説明が終わったあとは、部長によるビジネスマナー講座だった。


『ビジネスマナーをしっかりマスターすれば一人前』というタイトルの冊子に沿って、話を進めていった。