控え目に甘く、想いは直線的

柴田涼は、その状態のままで、女の腕を振り払った。呆れたようにため息をつく。


「映画には行かない。もうエリとは別れる。じゃあな。ほら、君、行こう」


「えっ? ちょっと、涼! 待ってよ!」


女が待てと叫んでも柴田涼は止まらなかった。私は、引っ張られる格好でその場から動いていく。


「そのケーキ屋、確かそこを曲がったとこにあったよな?」


「あ、はい。でも…」


「ん? なに? あ、もしかしてどこか痛めた?」


「いえ、大丈夫です。そうじゃなくて、あの彼女さん、いいんですか?」


怪我をしているのかと上から下まで見られた。怪我を心配して見ただけなのに、なぜか体が熱くなる。こんな風になるのは初めてだけど、きっとカッコいい人に見られたことがないからだ。


「ああ、アイツのことはいいよ。君が気にすることではない。それよりも早く行こう。それは誰かの誕生日用じゃないの?」 


「あ。そうだ! 早くどうにかしないと。おばあちゃんが待っている」