「涼と一緒に奈美さんの店にいた子だよね? あのときと外見は違うけど、かもし出す雰囲気が変わらないね」


「はい。えっ……かもし出す雰囲気ですか?」


「うん。でも、そういう服のほうが君らしくて合っているね。えっと、野々宮さん」


人事部長は手元にある資料で私の名前を確認した。

君らしいって、私の何をこの人事部長が知っているの?

会うのは今日で二度目だけど、この前は三分くらいしか対面していない。

それにそういう服って……紺色のリクルートスーツが似合うと褒められても嬉しくはない。地味だと言われている気がするし。

たったの二回、それも僅かな時間なのになぜそこまで見抜かれてしまうのだろう。確かに自他共に認める地味子だけど。

でも、自分を印象付けるにはこれはチャンスだ。目立たなく埋もれてしまう前に、地味でも興味をもってもらえるようアピールしよう。


私は再び背筋を伸ばして、軽く咳払いをして、質問されていた大学で得たものをハキハキと答えた。