控え目に甘く、想いは直線的

式場のスタッフの呼び掛けに涼さんと美月さんがいる階段下に人が集まった。女性が多いけど、男性もいる。

みんな幸せをお裾分けしてもらいたいのかな。


「夕美も行ってきたら?」


「えっ、私はいいですよ」


いつかしたいと夢見るけれど、今すぐとは思わない。今は要さんのそばにいられるだけで、充分満足しているし、幸せだ。

1ヶ月前に要さんの実家に行き、交際していることを改めて報告した。私の家にも要さんが挨拶に来てくれた。お互いの両親が認めてくれたから、今の状態に満足している。

これ以上の幸せもあるかもしれないけど、今は本当にこれで充分だ。


「いいから、一緒に行こう」


要さんに手を握られ、集まっている場所の一番後ろに連れていかれる。美月さんから一番離れているから多分ここまでは届かない。

なんとなく安心して、投げられる瞬間を待った。

美月さんが後ろ向きになり、ブーケを青空に向かって上げる。

それに合わせてたくさんの手が上がった。

誰の手にブーケが落ちるのか。

私は事の成り行きを見守ろうとした。

だけど……


「夕美、しっかり見てなよ」


「えっ?」