控え目に甘く、想いは直線的

「あーあ! みんな幸せそうでいいね」


「分かった! 拓人さん、振られたんでしょ?」


要さんと私がそっとしておいたのに、涼さんは考えもなしにハッキリと言う。大石さんの反応が心配になり、内心ハラハラする。

案の定、大石さんの眉がビクッと動く。大石さんの怒った姿は見たことがないけど、怒ると怖そうだ。


「振られてはいない。ただ食事を断られただけだ」


「断られたなら、振られたんじゃ……」


「うるさい! 喫煙室行ってきます」


喫煙はやめる方向で吸う本数を減らしているという大石さんが、喫煙室に行くときは苛立っている時だ。

そんな大石さんを見たのは二度目だ。一度目は総務部の人と意見が合わず、揉めていた時だった。


「怒らせちゃった?」


「大丈夫さ。それよりも夕美、すぐに返事書いたほうがいい」


「そうですね!」


要さんに促されて、招待状の封を開け、返信用の葉書を取出す。それに住所と名前を書いて、涼さんに渡した。


「おめでとうございます。楽しみにしてます」


「うん、ありがとう」


涼さんは幸せそうな笑顔を見せ、手を軽く振って出ていった。