控え目に甘く、想いは直線的

名前は知っているけど、本人から教えてもらってはいないし、私も名乗ってはいない。

今、どこに住んでいるのか、どこで働いているのかくらい聞くべきだったかも……。

なにも知らないから、もう会えないかもしれない。

初めて好きになった人なのに。



***


「ええっ? 好きな人ができた? それ、誰なの?」


翌日、私は大学の食堂で友だちの三上柊花(みかみしゅうか)に初めて恋をしたことを話した。

柊花は今まで彼氏どころか好きな人さえもいたことのない私を恋愛天然記念物だと言っていた。

そんな私を好きにさせたのはどこのどいつだと、身を乗り出すほど興味津々だ。

柊花の外見は地味な私と違い、派手で今日のコーディネートは、オフショルダーのピタッとしたショッキングピンクのカットソーにスリットが大胆に入った黒のタイトなスカート。

スタイルの良い柊花の体のラインがハッキリと分かる服装は、私とも他の大学生とも違い、すれ違う男性がみんな二度見るするほど、お色気たっぷりで綺麗だ。