控え目に甘く、想いは直線的

どれだけ汚い部屋かと思っていたけど、それほどではなかった。

ただ本がテーブルだけでなく床にも散乱していて、本棚にはあまり並べられていないのが気になった。あとはパジャマも床にあるくらいだ。全体的に物が少ないから、ものすごく汚いとは感じない。


「本を本棚に入れるだけできれいになると思いますよ」


「ふうん」


聞いているのだか聞いていないのだか関心のない返事が背後から聞こえてきたと同時に私は体を硬直させた。

要さんが背後から抱き締めてきたからだ。手が肘から下しか動かすことが出来ない。

突然の出来事で、私の心臓の動きは早くなった。要さんの息が耳にかかり、体がビクッと反応する。

こういう場合はどうしたら……。


「夕美はなんでなんの抵抗もしないでここに来たの?」


「えっ? 抵抗?」


訊ねられている意味が分からなくて、聞き返す。


「夕美は何でも嫌がらず仕事もやってくれるけど、嫌なときは嫌だと言ったほうがいいよ」


「私だって、何でも引き受けるわけではありません。出来ないことは出来ないと言うし、嫌だったら嫌だと言いますよ」