控え目に甘く、想いは直線的

奈美さんは説明しながら、塗った口紅を落とし、もう一つの口紅を塗った。

私は正直にメイクも落とせる洗顔料を使っていることを話す。案の定奈美さんは驚いて、さらに奥の部屋に行き、クレンジングと洗顔料を持ってきた。


「これ使ってみて。次の日の肌が全然違うから」


「はい、ありがとうございます」


「奈美さん、これで仕上がっているの?」


「要くん、これだけでは不満? この色はね、グロスを塗ると華やかになるのよ」


口紅だけを塗り終わった状態で放置されていたが、要さんがじっくりと見てくるから、似合わないのかと不安になっていた。

奈美さんが透明のグロスを塗ると自分でも驚くくらい顔全体が明るくなった。グロスを塗ったのは、去年奈美さんにメイクをしてもらって以来だ。

あのときのグロスの塗る前と塗ったあとを覚えていないけど、多分同じくらいの効果はあったと思う。別人のように変わったのは覚えている。


「それだけでかなり印象が変わるな。それ、テカテカしていなくていいね。どっちも似合っていたから、両方もらうよ。そのグロスも」