控え目に甘く、想いは直線的

着いた場所は去年涼さんに連れてきてもらったブティックだった。要さんとはここで初めて会った。

でも、ここは服を売っているけど、化粧品は売っていなかったはず。ここでメイクをしてもらったけど、売ってはいなかった、


「いらっしゃいませー。あら、要くん! 用意してあるわよ」


「奈美さん、ありがとう」


「久しぶりねー。まさか今度は要くんが連れてくるとは思わなかったわ。あー、ほんと。確かにその色は合わないわね。こっちに来て」


「はい」


奈美さんという店員さんにはあのときも奥のメイクルームでメイクをしてもらった。なぜブティックにメイクルームがあるかはあのときも今も謎だけど、私はまた奥に引っ張られる。


「私のおすすめはこの二つなんだけど、とりあえず付けてみるわね」


要さんが連絡をしていたらしく、奈美さんは用意していたという二つの口紅を見せてくれた。一つはローズに近い濃いめのピンク色で、もう一つは落ち着いたピンク色だった。

どちらもイメージしていた可愛らしいピンク色ではなくて、内心ホッとした。やっぱり可愛いのは似合わないと思うから。