控え目に甘く、想いは直線的

本当に一緒に帰るのかな? チラリと要さんを見ると目が合って、心臓が微かに跳ねた。


「野々宮、帰るよ」


「はい!」


要さんがパソコンのカバーを閉じたので、私は慌ててシャットダウンして、デスクの上にあったボールペン等を片付けた。


「えっ? 二人で帰るんですか?」


「拓人。悪いけど、あとはよろしく。ほら、行くよ」


「すいません、お先に失礼します」


先に出ていく要さんを追って、私も人事部を出た。一瞬呆気に取られていた大石さんはにこやかに手を振っていた。

何か勘違いされている気がしたけど、大石さんよりも気になるのは要さんの動きだ。エレベーターに乗ると「B」のボタンを押す。

地下には駐車場があるけど、車で移動? どこまで行くのだろう?


「どちらに行くんですか?」


「夕美が行ったことのあるとこ」


謎解きをするように行ったことのある場所を思い出す。この前行ったショッピングモールかな。いくつかのコスメショップが入っていた。


「えっ? ここですか?」