控え目に甘く、想いは直線的

「間違えているよ。要だろ?」


部長は体を屈めて、私の耳元で間違いを咎める。耳元にかかる息と、聞こえてきたいつもよりも甘い声に私の顔は一気に熱を帯びた。


「ぶ、あ、いえ! 要さん、近いです」


私は部長の胸を軽く押して、後ろにも下がる。良かった、今日は後ろが壁ではない。


「言えるじゃん。もう間違えるなよ」


もう絶対に間違えないようにしよう。要さん、要さん、要さん……私は何度も心の中で繰り返した。


「そのパンプスもいいな」


「こちら昨日、入荷したばかりなんですよ。まだサイズが揃っているのでお出ししますね。なんセンチですか?」


「夕美、なんセンチ?」


「23.5ですけど」


部長……じゃなくて、要さんと店員さんで話が進められて、私の前にクリーム色のパンプスが置かれる。スニーカーを履いてきた私の足にはストッキングではなくて、靴下が履かれている。

靴下では履けないし、脱いで素足で履くことも出来ない。どうしたらいいかな。