控え目に甘く、想いは直線的

しかし、集中しすぎてしまったのがよくなかった。


「なかなかおもしろかったな。なんだ夕美、泣いたのか?」


泣けると話題だっただけあって、私も例外ではなく泣いてしまった。気付かれたくなく静かに流した涙を拭いていたのだが、涙の跡が残っていたようだ。

恥ずかしい。


「すいません。なんか感動してしまって」


「謝らなくていいよ。確かに感動的だったし、別に泣いたことを隠さなくてもいい。出れるか?」


私が頷くと、部長は優しく微笑んで、まだ頬に残っていた涙を指で拭いてくれた。それから、私の手を握って、ゆっくりと階段を降りてくれた。

泣いたことを意地悪く笑うのではないかと思っていたから、思いの外優しくされて戸惑う。だけど、優しい部長は嫌いではない。

繋がれた手が嬉しくて、なんだかブンブンと振りたい気持ちにまでなった。突然振ったら怒られそうだけど。


「これからどうするかな。少しふらふらしてみるか」


手を繋いだままでショッピングモール内を歩く。