控え目に甘く、想いは直線的

部長は私の腰にあった手をはがして、私の手首を掴んだ。田島さんが離れないから助けを求めていたけど、強気な行動に出るとは驚きだ。

田島さんも驚いたようで、変な声を出したあと、即座に部長の肩を掴む。だけど、その瞬間睨まれる。


「俺を止めようとするなんてなかなかいい根性してるな」


「あっ! いや、すみません!」


部長と自分の立場を考えると謝るしかないようで、頭を下げた。立場だけではなく、年も田島さんのほうが下だ、

謝られても部長の怒りは収まらなく、掴んだ手首を強く引っ張るから……


「っつ……」


痛みを感じて、声が出てしまった。どうしよう、静かにしていないと私も怒られる……。

しかし、私の声に気付いて「ごめん」と掴んでいた手を離しただけで怒られはしなかった。


「帰ろう」


「本当に帰るんですか?」


「ああ、顔色がよくない。昨日から風邪気味だって言ってたよな? やっぱり無理に来ないほうが良かったな。あ、大石。悪いけど、具合の悪い野々宮を送るから俺も帰る」