控え目に甘く、想いは直線的

「今日はよろしくお願いします。初めてのことで、何をやったらいいのか分からないので、教えてもらえると助かります」


私はグループの人達に頭を下げた。顔だけは見たことがある人もいるけど、ほぼ初対面のようなものだ。

部長の言う「気をつけろ」は、迷惑を掛けないよう気を付けろという意味だったのかもしれない。


「えーと、野々宮さんだっけ? こちらこそよろしく。早速、俺と野菜を切ろう。包丁は使える?」


「はい、切れます」


総務部経理課の田島さんという男性社員と一緒に野菜を切る係に任命された。料理は得意とはいえないけど、一通りの手順は分かる。

田島さんが剥いた玉ねぎを私が切る。田島さんが洗った椎茸を私が切る。田島さんが洗ったキャベツを私が切る。洗うのは田島さんで、切るのは私の担当のようだ。

私はひたすら置かれるものを切っていく。


「ごめんねー。俺、実は料理しないから包丁使えないんだよ。野々宮さんが出来る子で助かったよ。すごいきれいに切るね」


洗い終わった田島さんは私の切った野菜をトレイに入れていく。屈託なく笑う顔は害のない良さそうな人に見えた。