控え目に甘く、想いは直線的

部長から見たら私は手がかかる心配な子どもだから、こうして迎えに来てくれるし、撫でてもくれるのではないかと思う。

今までしっかりしていると言われることが多く、人に頼られることも多かった。それが就職してからは教えてもらうことが多いのは当たり前だけど、子ども扱いされているように感じて戸惑うこともある。

人間としてまだまだ未熟なのは自分でも認めるけど、大人として見てもらいたい。


「バカだな。俺は子どもにキスなんてしないよ」


まさかここでキスの話が出るとは思わなかった。でも、確かめたいと思っていたからこれは良い機会だ。


「じゃあ、なんでキスしたんですか?」


「あー、やっぱり前言撤回するよ。お前、子どもだな。キスをする意味も分からないなんて」


「そんなことないです! 私にだって、意味くらい分かりますよ!」


バカにされた気がして、思わず声を張り上げたけど、失敗したと口を手で押さえる。言ってからでは、遅かったが。


「へー、どういう意味?」


部長が意地悪な笑みを浮かべて聞いてきたから、膝の上に置いていた手に力が入り、快適な気温に保たれている車内なのに汗まで出てきた。