控え目に甘く、想いは直線的

「あの、着替えましたけど」


おそるおそる外に向けて声を出す。自分でドアを開ける勇気がなかった。


「じゃあ、開けるわよ。大丈夫よね?」


「はい」


店員さんがドアを開けて、上から下まで私を見て、笑顔で手を叩いた。


「あらー。やっぱり凄く似合っているわ。かわいい!」


「どう? お、やっぱいいじゃん!かわいい、かわいい。じゃあ、メイクしてあげて。俺、ちょっと出てくるから」


「メイク? 一応これでもメイクしてあるので、このままでいいです」


外に出てしまった柴田涼を見てから、店員さんに慌てて手を振って断る。


「あらー、その服に合ったメイクをしたほうがいいわよ。ほら、髪型もアップにするとさらに映えるわよ」


背中の真ん中辺りまであるストレートの黒髪は食事や勉強の時などは、黒や茶色のゴムでひとつにまとめて、下にたらすようにしている。

その髪をひとつに束ねて上に持ち上げられる。顔の周りの髪がなくなり、スッキリするがなんだか落ち着かない。