「伽耶先輩、ココもう終わりましたよ?」



次の日。

放課後に園芸部の手伝いで新くんと花壇の手入れをしていると、私の顔を覗き込む彼と目が合った。



「あ、ごめん!ボーっとしてた。次はあっちの花壇でいいのかな?」


「そうっスね。それ終わったら、今日は終わりにしましょうか。伽耶先輩も疲れたでしょ?」



新くんはそう言って立ち上がると、花壇の脇に置いてあったスコップやじょうろを手に取った。



「ううん、大丈夫!私は日陰の方だったし...ごめんね?日なたは新くんに任せて」


「これくらい全然平気ですよ。あ、記録簿だけ持ってもらえますか?」


「うん」と、新くんから受け取った記録簿を持って、私も後ろについていった。



放課後は夏希ちゃんと一緒に花壇の手入れをすることが多かったけど、今日は生徒会の仕事で忙しいみたいで休みとのことだった。

まだ私1人では分からないこともあるので、今日は新くんとペア。

気さくな彼は、気遣いも出来るし、喋りやすくて、女子校育ちの私でも気兼ねなく接する事が出来る男の子だった。


「あ、アスチルベも咲き始めましたね」


新くんに言われ花壇に目を向けると、ピンクや白の花が風に揺られて並んでいた。



「ホント。可愛い花ね」

「楽しみですね!ココの花壇5月から6月にかけていろんな花が咲き出すんで」


新くんはそう言うと、嬉しそうに笑う。

初対面では軽い印象だった彼だったけど、こうして花に向ける目を見ていると、人は見かけによらないな、なんて思ってしまう。


「じゃあ、ココやっちゃいましょうか」


新くんから袋を受け取ると、「そうだね」と私も返してまた作業に取り掛かった。