「実弦っ、待って!」





「待たねーよ!早くしろよー。」





実弦があたしに向かってカツラを投げた。





地味子になるには、絶対必要なもの。





だって、あたし達は2人とも、明る~い金髪ですごく目立つ髪型だから。





お母様がロシアと日本のハーフで金髪だからね。





「投げないでっていつもいってるよね!?長いからぐちゃぐちゃになっちゃうんだよ!?」





腰まである真っ直ぐな髪の毛をカツラの中に入れるのは至難の技だ。





「へーへー。急いで変装しないと学校着くぞ?」





そう言って、実弦は目にかかるくらいの前髪を簡単に黒いカツラにしまい込んだ。





いいなぁー、短いの。





あたしは小走りしながら髪の毛をカツラにしまい、黒髪をおさげにして瓶底眼鏡をかけた。





もちろん伊達ね。





「相変わらずダサいな。」





振り返ってあたしを見る実弦も瓶底眼鏡のもっさり君で人のことは言えない。





「実弦もなかなかだよ。」





苦笑しながら言い返した。





「そうだな。じゃ、俺はこっちだから。」





「うん。また、倉庫で。」





あたし達は双子だということがバレないように、学校の近くになったらバラバラで登校する。





さすがに一緒にいたら双子だし、芸能人ってことがバレちゃうからね。