だから気遣うあまり、気付けなかった。 「凛ーっ、帰ろー!」 「あーごめん。あたし先生に呼ばれてるから、純恋、康介と先に帰っててよ。」 「え、待つけど?」 「いいよいいよ。ほら、康介が待ってるから、早く行きなさい。」 秋の半ば あたしの口癖はここ最近、この「先に帰ってて」だった。 純恋と康介、2人の邪魔はしたくない。 2人を思って、したことだった。 だけどその、あたしの余計な気遣いが、純恋の傷を大きくしたんだ。