この前は私の少し前を歩いていたのに、今日は並んで歩いてる。
頭上から降ってきた声は優しくて。
『あっ!!!』
『うん?』
思い出した!
『大和はどこに圭を連れてったの?』
『・・・・』
あれ?西谷「後で教える」って言ったよね?
西谷の顔を見ようと横を向くけど、勿論そこに顔は無くて、視線を上に上げる。
西谷はクスクス笑ってる。
『どうして笑ってるの?』
『鈍感もここまでくると才能だなっ』
『っぃたっ』
また・・・
『何か、バカにされた上にデコピンって・・・・』
いつ飛んでくるかわからないデコピン攻撃を防ぐために前髪でおでこを隠す。
『・・・・・大和、前田に告るって』
『え~~っっっ』
気づけばもう家の前、ごめんなさい、ご近所様・・・
あまりにも突然で、びっくりして大声を上げてしまった。
もう、家の前だけど・・・と考えていると
ガチャって玄関が開いてお母さんが顔を覗かせる。
『今の大きい声、あ・・・き・・・・?』
途中で西谷がいることに気づいたんだろうな。
視線が西谷の方に飛んでっちゃったから。
『こんばんは』
西谷は臆する事無くお母さんに挨拶する。
『あっ!!!私ったら、こんばんは。え~っと・・・』
『亜紀さんと同じクラスの西谷です。』
『君が噂の西谷くん。え~っと、そんな所で話すのもあれだから、亜紀上がってもらったら?』
いつもより1トーンも2トーンも高い声のお母さんが言う。
『あっ、僕は、もう遅いので失礼します。じゃあ福島、また学校で!』
タッタッタと、走って行ってしまった。
西谷はまた後ろを振り返らず曲がり角で左手を上げた。
その日の夕食は大変で。
お母さんの質問攻撃で、ご飯が全く喉を通らなかったんだ。
娘が同級生に送ってもらう事がすごく嬉しかったみたい。
お風呂から上がり、ベッドに横たわる。
ふふっ、思い出し笑い。
お母さんと西谷のやり取り、面白かったな・・・
私は深い眠りに落ちた。

