すれ違い、片思い


教室に戻ると前田は窓際の一番後ろの席のヤツを移動させ、俺と向かいあって座れるよう机を動かす。



『お弁当、持ってきたら?』



前田に促され弁当を一緒に食べる事にした。



『ふふっ』



前田が急に笑う意味がわからなかった。



『何だよ・・・』



ぶっきらぼうに答える。



『まだ亜紀のこと好きなんだね』



顔が赤くなったのが自分でわかった・・・
体温も上がる・・・



『なっ・・・』



『フラれても、好きなんだね。西谷、わかりやすすぎ』



『えっ?なっ、んで、・・・・』



『何で知ってるかって?亜紀の顔にも、西谷の顔にも書いてたよ。もちろん亜紀からは何も聞いてない。あの子は相手の気持ちを考えられる子だから』



『前田って、やっぱりスゴいな。福島がいつも感心してるの、よくわかるわ』



『でしょ?でもたまに・・・気付きすぎてしんどい時ある・・・』



俯いた前田は心なしか小さく見えた。



『っていうか、ありがとうな。止めてくれて。前田らが来てくれなかったら俺まだ大和殴ってたかもしんないww』



『どういたしまして。この貸しはいつか、返してもらうから』



『おう、任せとけ』



小さく見えた前田はすでに態度の大きな前田になっていた。





でも・・・俺の中に1つ疑問が残る。




『俺の気持ち知ってて、何で福島を保健室に行かしたの?』



『亜紀、保健委員』



『くっくっっ、前田、そこ気ぃきかなすぎっ!ウケるっっ!』



俺が笑う。

前田も笑う。



2人で笑ったら何だか拳の痛みも引いてきた。 






この時、福島が淋しそうに俺と前田を見ていたことを

俺は知らなかった。