すれ違い、片思い


先に教室に戻って行く圭と西谷に視線を送り、大和と一緒に保健室に向かう。


大和はずっとブツブツ何かをつぶやいている。


何があったのか聞いちゃいけない気がして、保健室までの廊下を黙って、並んで歩いた。



『先生?いますか?』



保健室の扉をガラッと開けたけど先生はいなかった。



『えっと、じゃあ、大和、ここ座って?』



私に促され、黙って大和は椅子に座る。


相変わらず、黙ったまま。一点を見つめて何かを考えているみたい。



『しみるよ?』



消毒液の染み込んだコットンを優しく大和の口元に当てる。



『ぃてっっ』



『ごめんっ、消毒はどう頑張ってもしみるから…』



『いいよ、大丈夫。ありがとな。亜紀ちゃん』



大和の口からやっと言葉が出てきた。