『どっか、座って話そうか』
大和の提案で、夏休みの終わりに圭とサッカーの試合を見てた、非常階段に行く事にした。
校舎からは賑やかな音楽や、生徒達の笑い声が聞こえる。
ついさっきまでは全然耳に入らなかったのに、不思議な感じ。
『亜紀ちゃん、どした?最近元気ない。何か、困ったことでもあった?』
『ううん…何もないよ?』
本当に何もない。自分自身に変わった事は。
『悩みがあるんだったら聞くけど?』
大和が柔らかい笑顔で私を見つめる。
でも、悩み事なんてない。
しいていえば・・・
『今井さん・・・』
『えっ?』
大和が怪訝そうな顔をする。
『今井さん、何の用事だったのかな・・・』
『えっ?・・・ずっと、気になってたの?』
ううん・・・私は首を横に振った。
ずっと気になってたんじゃない。
さっきの中庭の光景が、それを思い出させた。
『ふふっ、亜紀ちゃん?』
大和がニコッと笑って。
『わからない事は、本人に聞けばいいんだよ』
って。また今井さんに聞くの?変な人だって思われて、また逃げちゃうよ。
『前にさ、俺言ったよね、周りをもうちょっと見なよって。』
確かに。
校外学習の日、売店横の休憩所で大和の気持ちを聞いた時に言われた。
『きっとさ、答えは近くにあるんだよ亜紀ちゃんが見ようとしていないだけで』
大和はまたニコッと笑って
『戻ろっか』
と言った。

