「別に」

上目づかいでなかなか可愛らしい村田さんにバッサリ切られた。

今日で2度振られたような感じがする。

さすがに心が痛くなって、俺は肩を落とした。

「そう……」

それだけ言い、村田さんに背中を向けた。

2枚のチケットどうしようか。

クラスの男友達と行くか……。

そんな事を考えながら歩いていると、後ろから走って来る足音が聞こえて俺は立ち止まった。

振り向くと、グラウンドからこちらへと向かう村田さんの姿があった。

「え、なんで……」

俺は思わずそう呟いた。

「2人で校門を出る方が、マシだから」

俺に追いついた村田さんはそう言った。

一瞬なんの事か理解できなかったが、昨日の会話を思い出した。

学校の行き帰りに気分が悪くなると言う話だ。

「そ、そっか」

村田さんに声をかけられて、不覚にも頬が緩んでしまった。

俺の事を顔や経済力で見ていない村田さんと一緒にいる事が新鮮だった。