「どうして、僕じゃダメなんだろう」

 何度となく思ってきた疑問を、彼が言った。

 「助けたいって思うのに、僕じゃ足りないんだ」

 この言葉が間違っていることに彼は気づいているだろう。

 助けたいは本心、だけど違う。

 好きだから、彼を想い、ただ助けになりたい、寄り添いたい。

 それが本心。

 誰も代わりはいない、唯一無二の愛しい存在になれない理由を問うていることに気づいていないのか。

 「僕は、なんのために」

 下を向いたのは、彼の顔を見たくなかったから。

 自分自身に何度も問いかけた、私だって。

 私は彼が好き、彼には好きな人がいる。

 敵わないなんてとっくにわかってる。

 二年、長い二年の間に、何度もあきらめようとした、だけどできなかった。

 思って想って、好きでいることだけはやめられなかった。

 そんな私の気持なんてかすりもしない、届きもしない。

 それなのに、どうして叶わないと嘆くなんて、聞きたくなかった。