コール三回目。

 低い声がした。

 『…なに』

 電話が鳴ったら普通もしもし?でしょ。

 用件を先に尋ねるなんて無礼すぎる。

 「今寧の携帯借りてあなたに電話してるのは、私。白瀬だけど」

 『…だれ』

 「一度会ったわよね?白瀬 雪代(しろせ ゆきしろ)!寧の親友!性別女、好きな物は甘いものと可愛いもの!血液型もいるかしら?!」

 『…なに』

 気怠い声は多分私を覚えていない。

 「今すぐ寧の家の最寄り駅にあるファミレスに来てちょうだい」

 『…家知らない』

 「あーそう、じゃぁあなたの家に行くから家教えなさいよ」

 『いやだ』

 「とにかく!あなたに会って話したいことがあるの!すぐに!」

 『寧にかわって』

 スピーカーにしていた携帯を寧に投げるようにして渡した。

 「…翠?うん…うん…わかった」

 スピーカーをなぜか切って話をしていた寧が通話を終えて耳から携帯を離した。