☆☆☆

灰色の通路が続いていた。


翔吾と2人で歩いて行ったときには短いと感じた通路も、今はすごく長く感じられた。


あたしは時々鼻歌を歌った。


翔吾が好きだったロックバンドの曲だ。


あたしも一緒にCDを聞いて、知らない間に覚えていた。


ほとんどが英語の歌詞で内容なんてちっともわかっていなかったけれど、『メロディが好きなんだ』翔吾はそう言っていた。


うん。


あたしも好きだよ。


翔吾が好きなものは、あたしもどんどん好きになって行ってたよ。


あたしは翔吾と共にこの建物を出る。


あたしは大きく息を吐き出し、目の前に現れたドアを見つめた。


もう全員いなくなった。


脱出ゲームはこれで終わりだ。


あのドアを開ければきっと自由が待っている。


あたしはドアノブに手をかけた。


何度こうしてドアを開け、開けた先の部屋で絶望を目の当たりにしただろう。


でも、ここまで来たんだ。