「やだよ!! なんでこんな事になってるの!? ねぇ翔吾、答えてよ!!」


あたしはこの部屋で翔吾に殺されるはずだった。


生き残るのは翔吾だった。


なのに……。


涙で滲む視界の中、床に置かれたメモが見えた。


しゃくり上げで泣きながら、そのメモを乱暴に拾い上げる。


《守りたい者を殺せ》


守りたい者……。


そうか……このメモ、相手を殺せなんてどこにも書いてないんだ。


守りたい者、つまり自分自身を自分の手で殺してもよかったんだ。


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」


あたしは野生動物のような叫び声をあげ、メモを粉々に破いた。


翔吾は拳銃を握りしめた時、そのことに気が付いたんだろう。


破いたメモを踏みつけ、床を殴りつけ、拳銃を思いっきり蹴り飛ばした。


「翔吾! 翔吾! 翔吾!!」


いくら名前を呼んでも目を開けない。


揺さぶっても、叩いても、翔吾はピクリとも反応しなかった……。