「ここで立ち止まっていても、出口は近づいては来ない」


「また自分から死にに行くの!?」


桃乃が翔吾の胸倉をつかんでそう言った。


翔吾は桃乃の手を掴み、優しく解いた。


「ここに残っていたらきっと《奴隷部屋》に戻されるだけだ。それでいいなら、お前1人でここにいろ。俺と朱里は先に行く」


そう言い、翔吾はあたしの手を握り歩き出した。


チラリと振り返ると、桃乃は放心状態で突っ立っているのが見えた。


それでも、桃乃はきっとついてくるだろう。


それ以外に道は残されていないのだから。