「俺は行動しか把握されていないけれど、みんなは思考回路まで把握されてる。さっきの部屋で春奈が死んだのは、みんなの考えがバラバラだったからだ」


「そんなのわかってる。だから先に決めておいて、みんな『この人に投票する』っていう気持ちを作っておいた方がいいんじゃないかって言ってるんじゃん」


確かに、桃乃の考え方は正しい気がする。


先に決めておけば、一瞬でもみんなが同じ気持ちになるだろう。


「あたしは桃乃の意見に賛成する」


「朱里……」


あたしが賛同するとは思っていなかったのか、桃乃は少し驚いている様子だ。


桃乃は憎い相手だけれど、今は少しでも生き残れる可能性のほうにかけたい。


桃乃をさばくのは、この建物を出た後でもできる。


「朱里が賛成なら俺も賛成だ」


翔吾がそう言った。


ルキは1人肩をすくめて「好きにすれば」と言った。


「じゃぁ、とりあえず次は誰を選ぶ?」


「それなら、俺を選べ」


翔吾が迷わずそう言った。


「翔吾、大丈夫なの?」


あたしは不安になって聞く。