ようやく、それが理解できたのだ。


翔吾もよろよろと立ち上がり出口へと向かってくる。


が、長時間毒ガスを吸い込んでいたので時々立ち止まり、血を吐いた。


「翔吾!」


あたしは翔吾の体を支えるために部屋に入ろうとした。


その時だった。


開いていたドアが勝手に閉まり始めたのだ。


中にはまだ翔吾がいる。


「ちょっと、どうなってるの!?」


ドアを開けようとするが、びくともしない。


「翔吾! 早く!!」


ドアの間からめいっぱい手を伸ばす。


翔吾があたしの手を掴んだ。


ドアはジワジワとその幅を縮めていく。


「来て!!」


あたしが叫び、翔吾の体を強引に引き寄せた。


次の瞬間、ドアはバンッ!と大きな音を立てて閉じてしまった。