「そういえばずっとニュースになってたよな。公園で猫の死体が見つかったって」


雷がそう言い、興味深そうにルキを見た。


「他の街から入ってきた人にもレッテルって張られるの?」


あたしの質問に、ルキは頷いて右腕を見せて来た。


そこには首輪と同じような形状をしているブレスレッドが付いていて《mother》の文字が刻まれている。


「これがみんなの言うチップ代わりなんだ。チップのように思考回路まで把握することはないけれど、行動は把握できる仕組みになっているらしい。


こっちに引っ越してきたときに、役所の人からつけているように言われていたんだ」


そういえば、何度か似たようなブレスレッドを目にしたことがある。


彼らは他の街からの移住者だったんだ。


あたしは納得して頷いた。


「で、君は?」


ルキにそう言われ、あたしはチラッと翔吾を見た。


あまり人には言いたくない事だけれど、言うしかない。


あたしは小さく深呼吸をして気持ちを整えた。


「あたしと翔吾は、自殺未遂をしたの」


自分の声がやけに響いているように感じる。