「このドア、開けていいと思うか?」


翔吾が誰ともなくそう訊ねる。


「開けるしかないでしょ。他に道はないんだから」


桃乃が答えたが、翔吾はそれを無視し、あたしの方を見た。


「あたしも、そう思うよ」


「そうか。じゃぁ、開けるぞ」


翔吾が銀色の丸いドアノブに手をかけ、そしてそれを回した。


ガチャ……と、音がしてドアが開く。


恐る恐る開かれたドアの向こうには4畳半くらいの小さな部屋が広がっていた。


そこは灰色のコンクリートに覆われていて、つきさっき脱出してきた奴隷部屋を思い出させた。


「なんだろう、この部屋」


桃乃が呟きながら先頭を行く。


「向こうのドアから出られるんじゃないか?」


雷がそう言い、入ってきたのとは逆側のドアを指さす。


桃乃がそのドアに手を伸ばしかけた時「待って」と、ルキが声をかけた。


見ると、部屋の真ん中に白い紙切れが置いてあるのが見えた。


桃乃はドアノブへと伸ばした手をひっこめ、あたしたち6人は紙切れを囲むようにして立った。