「まぁまぁ。ここまで君たちのすべてを見せてもらっていたんだ。着替えくらいどうってことはないだろう?」


口角を上げ、いやらしい笑みに変わるスーツの男。


「この野郎! 人をばかにしやがって!!」


優也さんが怒鳴り声を上げ、スーツ男に殴りかかった。


しかし、男に拳は当たらず体のバランスを崩した優也さんはソファに手を付いた。


「なっ……!?」


男の体をすり抜けた優也さんに目を見開くあたし。


そして、ようやく気が付いたのだ。


この男は今ここにはいないのだと言う事に。


「3D映像か……」


優也さんが呟き、あたしは頷く。


しかも、ものすごく鮮明で高度なものだ。


今まで映画などで見て来たものなど、比にならない。


「くそ……! この野郎を直接殴る事ができないなんて……!」


「優也さん、ありがとう。あたしは大丈夫だから」


あたしは優也さんの背中をそっとさすった。